【市民健康相談講座】「メタボリックシンドロームと臓器障害について」
「平成23年度 第2回 市民健康相談講座」について報告いたします
日時:平成24年3月17日(土) 午後2時?4時
場所:豊明市保健センター3F講義室
【テーマ】
(1)メタボリックシンドロームと臓器障害について
おおはらクリニック院長 大原 康壽 先生
(2)蛋白尿から腎不全まで
みずのクリニック院長 水野 雅夫 先生
講演に先立ち、豊明市医師会の水野雅夫会長から、ご挨拶がありました(以下、全文)
「本日はお忙しい中、またこのようなお天気で、足元の悪い中、本講演会にご参加して頂き誠に有難うございました。 本会、市民健康相談講座は、地域医療に携わっている豊明市医師会の先生に講師となって頂いております。 先生方のご専門の分野で、また市民の方々の身近な関心ある内容で講演して頂いております。
この会は年2回、ここ保健センターで開催しております。また年1回、10月に豊明市文化会館で市民公開講座を開催しております。昨年3月11日の東北関東大震災による福島原発事故を受けて、今回は放射線障害に関するテーマを計画し、準備中です。そちらの方も是非ご出席してください。
さて本日の講演は、おおはらクリニックの大原康壽先生が循環器専門医の立場よりメタボリック症候群と臓器障害、私、みずのクリニックの水野雅夫が腎臓専門医の立場より蛋白尿から腎不全という題で講演をいたします。この講演が本日参加の皆さんの今後の健康維持に少しでも役に立つことと願っております。
最後に医師会からのご連絡です。 当豊明市医師会は、従来東名古屋医師会に豊明支部として所属しておりましたが、25年より施行される公益法人化法に伴い、豊明支部とは別に、任意団体豊明市医師会を22年12月1日に設立発足いたしました。当豊明市医師会は豊明市の市民の皆さんに対する、様々な公的な医療活動を一手に引き受ける医師の団体です。その点を明確にするべく分かりやすく豊明市医師会と命名しました。
わたくしが初代の会長を務めさせて頂きましたが、この三月で任期が終わります。つぎの会長は現副会長のくまべ整形外科、隈部泰男先生が務められます。引き続き当医師会をよろしくお願いいたします。 」
第一部は、おおはらクリニックの大原康壽先生による「メタボリックシンドロームと臓器障害について」です。
以下要約
「メタボリックシンドローム」とは、カロリー過剰による内臓脂肪型肥満を原因として?高血圧症?糖尿病?脂質異常症のうち2つ以上を発症した状態です。
生活習慣病がもたらす心臓・脳血管疾患は日本人の死因の第2位と3位です。
生活習慣病の問題点は?気がつきにくい?合併症を招きやすい?いくつも重なりやすいことです。
生活習慣の偏りは、内臓脂肪型肥満⇒糖尿病・高血圧・高脂血症⇒脳卒中・心筋梗塞・腎不全という道程を歩みます。日本人の食生活は欧米化し、高インスリン血症、高コレステロール血症をきたし、これによって高血圧症の原因ともなっています。
「寝たきり」の原因の38%は、脳血管疾患が原因です メタボリックシンドロームが寝たきりの下地となっているのです。
第二部は、みずのクリニック院長の水野雅夫先生による「蛋白尿から腎不全まで」です。
現在わが国では慢性透析患者総数は約30万人と、まだまだ頭打ちになったといえども増加傾向は続いております。
最近慢性腎臓病(CKD)という病名を耳にすることが増えていると思います。CKDの患者さんは全国で推定1330万人といわれ、成人の8人に1人の頻度といわれています。メタボ、糖尿病、と同じく重要な国民病と位置づけられています。
この講演には末期腎不全にならない為にという副題があります。CKDのため、末期腎不全に陥るのをどのように防いでいくか。もし腎不全になった場合どのような治療法がとられているか?についてお話しました。
前者の場合は、CKDの早期発見と発見後の的確な対応、及びCKDの治療が確実に施行されるかが、其の進行を予防するうえで非常に重要となります。また後者の場合は、腎代替え療法(血液透析療法、腹膜透析療法、腎移植)に円滑に移行することが大切で、かつその選択された治療法が安全に施行され、合併症に対しての対応が十分になされ、生活の質を落とすことなく、継続されることが重要です。
特に今回の講演ではCKDの早期発見と発見後の系統的な管理体制の構築の重要性についても触れ、熊本市の事例を紹介し、豊明市でのCKD対策推進連携の体制についての私案を紹介しました。近くこのような体制を行政、豊明市医師会、藤田保健衛生大学病院と連携し、早急に現実化したいと考えています。
図1 CKDのステージと症状、治療法
図2 豊明市CKD対策推進連携(案)
講演の後、市民講演会企画運営委員会の坂上充志先生(豊明クリニック)を司会として、質疑応答がありました いつも以上に活発な応答でした
次回の講演会もお楽しみにお待ちください
豊明市民広報管理委員会