【市民健康相談講座】「放射線・放射能の正しい理解のために~

日時:平成24年10月7日(土)

場所:豊明市文化会館小ホール

【テーマ】「放射線・放射能の正しい理解のために~放射線が体に与える影響」

講師 藤田保健衛生大学医療科学部放射線学科 鈴木昇一 先生

講演に先立ち、豊明市副市長の小浮正典様より聴衆の皆様へのご挨拶がありました

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続きまして豊明市医師会の隈部泰男会長(くまべ整形外科)から、ご挨拶がありました(以下、全文)

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「本日は、土曜の午後貴重なお時間を豊明市医師会主催の市民公開講座に足をお運びいただき、ありがとうございます。当市民公開講座は平成13年より回を重ね今回で12回目を迎えました。毎年3月と6月に行っている市民健康相談講座と併せ、皆様のお陰で続けさせていただいております。現在は情報化社会で、有名人が病気やけがをするたびに、マスコミはセンセーショナルに取り上げ、正しい情報・間違った情報が、交錯しがちです。開業医は、自分の専門とする科目以外も、病気の本体を理解して、かみ砕いたわかりやすい説明で、相談に乗れる身近な存在になりたいと考えるもので、医師会はそうした開業医の集まりとして、こうした専門の先生をお呼びする講演会を企画し、正しい知識の普及に努める使命があると考えています。放射線も、福島原発の事故の勃発から、マスコミがセンセーショナルに取り上げ、風評被害に苦しまれている方々が多くいます。

本日の講演は、正しい知識が広がることで、過剰な反応から医療現場で診断や治療に使われる放射線までが、本来の使命を失われないようにするため、意義あるものと考えています。今後とも、こうした意義ある市民公開講座・市民健康相談講座を企画運営してゆきたいと考えておりますので、引き続きご参加のほどお願い申し上げます。」

司会の市民講演会企画運営委員会、河本晃市先生(河本整形外科)より、講師の鈴木昇一先生の経歴が紹介され、講演が始まりました。(以下、要約)

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1. 放射線・放射能と単位

一般的に、物質を電離することができるものを「放射線」と呼びます。放射能とは、放射線をどのくらい出せるかという能力を指しています。放射能を持つ物質を放射性物質といいます。放射性同位元素の放射能が半分になる時間を、半減期といいます。セシウム137の半減期はおおよそ30年です。30年かかけて放射線量が半分になります。放出された電磁波や粒子は生体に影響を与えます。

放射線の単位をイメージでとらえますと、雨が降っているとします。雨がどのくらい降っているか?「雨の量」これを「ベクレル」といいます。その雨にどれくらい濡れてしまったのか?「濡れてしまった量」これを(体に吸収された吸収線量)「グレイ」といいます。この雨で体にどれくらいダメージを与えたか?「体にどれくらいダメージがあるのか」これを(実効線量)「シーベルト」といいます。

2. 放射線が体に与える影響

放射線は、(1)宇宙から、(2)地表から、(3)食物から(放射線事故がなくても)受けています。これらは、避けることはできません。小児は成人に比べ3から5倍程度リスクがあるとしています。それでも、国際機関の調査で、妊娠から出産までの胎児の合計線量が100mSv未満なら影響はないとして、放射線を心配して中絶すべきではないとしています。被ばく後の影響で白血病の発症は被ばく直後から10年、固形がん(肺がん、乳がん、食道がんなど)は10から20年で出現するといわれています。しかし、前述の国際放射線防護委員会では、100mSv以下のような低線量で生体に与える影響は無視できるとしています。広島長崎の大規模な調査では、被爆2世に放射線の遺伝的影響は見られなかったとしています。

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3. 線量基準値の決め方

線量の基準値は、放射線の安全を確保するために(ICRP)が数値案を提示し、ICRP勧告といっています。

4. 他のリスクとの比較

日本人のがんの罹患率はおおよそ50%、がんによる死亡はここ数年おおよそ30%となっています。その原因には、食事が35%、タバコが30%程度です。また、1日3合アルコール摂取は3%となっています。放射線によるリスクは、100mSvで0.5%となっています。この線量での放射線リスクは非常に小さいことがわかります。

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5. 原子力発電所事故による放射線線量

原子力発電所の事故による一般の人(胎児、小児を含む)の年間線量を1mSv以下(自然放射線以外)にするよう、現在、対策が行われ、多くの地域で線量が低減されてきています。

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6. まとめ

放射線は自然界にも存在し、年間1mSvを超える(自然放射線の高い)地域も存在しますが、住民の健康に被害があったとの報告はありません。100mSv以下の被ばくは、生体に与える影響は無視できるか、障害が感知できない放射線量です。しかし、無用な被ばくは避けるべきで、小児などを含め、年間1mSv以下にすることは必要であると思います。放射線の健康障害を正しく評価するためには、長期にわたる健康診断が必要です。放射線事故の被害を被った人たちに対する偏見は、正しく放射線を理解しすることで解消されます。放射能・放射線を正しく理解し、正しく恐れる文化が必要かと思います。以上

講演の後、河本晃市先生を司会として、質疑応答がありました。やはり、放射線と放射能の違いなど、身近な日常生活とは異なる、この分野の難しさに戸惑っておられるようでした。

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鈴木先生、ご参加の皆様ありがとうございました。次回の講演会もお楽しみにお待ちください。

豊明市民広報管理委員会